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猛暑の詩・「苦熱行」

日輪 午(ご)に当たって凝(こ)りて去らず
万国 洪爐(こうろ)の中に在るが如し

のフレーズが印象的なこの詩を再々録してみたい。

   苦熱行   唐 王轂

祝融南來鞭火龍
火旗焔焔焼天紅
日輪當午凝不去
万国如在洪爐中
五嶽翠乾雲彩滅
陽侯海底愁波竭
何當一夕金風發
爲我掃却天下熱

【書き下し】

祝融(しゅくゆう) 南より来たって火龍に鞭(むち)うち
火旗(かき) 焔焔(えんえん)として天を焼いて紅(くれない)なり
日輪 午(ご)に当たって凝(こ)りて去らず
万国 洪爐(こうろ)の中に在るが如し
五岳(ごがく) 翠(みどり)乾きて雲彩滅し
陽侯(ようこう) 海底に波竭(つ)くるを愁う
何(いつ)か当(まさ)に一夕(いっせき)金風(きんぷう)発し
我が為に天下の熱を掃却すべき

【訳】

夏の神である祝融が南からやってきて、乗っている火龍にむちを打ち
その火の旗はぼうぼうと天を真っ赤に焼いている
太陽は正午に南中したまま固まって中天から動かず
世界全体がストーブの中に入ったようだ
高山である五岳の緑も乾いて、かかる雲の彩りも失われ
海の神となった陽侯は海底で海の波が尽きるのを憂えている
いつになったら夕方に秋風が吹き始め
暑さにあえぐ私のために天下の熱を取り去ってくれるのだろう

※夏の酷暑をユーモラスに活写して余すところがない。題名の「苦熱行」は曹操などの「苦寒行」のもじりかもしれない。

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