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木下誠一『雪の話・氷の話』(理科年表読本 丸善)

『雪の話・氷の話』と言っても、「雪は天から来る手紙である」とか、六角形や樹枝状の雪の結晶のでき方とか、雪・氷と各地の伝説とか、そういうロマンチックな話は全くない。

強いて言えば、最初は氷河・永久凍土・流氷の話題だが、あとはひたすら積雪の密度・硬度・含水率の計り方や切片標本の作り方、積雪の持つ沈降力、電線着氷のメカニズム、雪崩の種類と防止策、路上の除排雪、凍上のメカニズムとその防止策、などの記述である。

しかし、それが地道で渋く、かつ良いのである。

考えてみればこうして積雪の中雪濠を掘って断面を着色し、硬度や密度を計って「しまり雪」「こしまり雪」「ざらめ雪」などと分類し、電線に飛んでくる雪が着氷する様子を調べ、道路上の雪の固まり具合を測定して、タイヤから出る熱の影響も測定し、またそれを飛行場にも応用する…。普段一般人には気が付かないが、雪国の生活を構築する上での必須となってくる知識であり、こんな研究の営みこそが、本当の「科学」だという感じがする。

私が雪国にはなじみが深く、かつ季節柄そういう本を読んでみたい(関東地方は雪が降らず寂しい)というのもあったが、寝る前にちょっと読んで心を落ち着かせ、楽しくさせる、そういう読書にぴったりであって、45日かけて読み終わった。

著者は本書中にも出てくる「木下式硬度計」の発明者でもあり、インターネットで調べると酒好きの先生でもあったようだ。

私はいつのことかこれを古本屋で入手したが、絶版であり、このような本が広く読まれないのは残念でもある。

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