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増田昭子『雑穀を旅する』

昨日読了。

読みだせば専心できるこの本に、手こずって日数をかけてしまったのは不覚だった。

著者は主に岩手県・東京都桧原村・山梨県・沖縄県などに伝わる雑穀の利用法、栽培法などを取材し、最後に雑穀利用や農業のあり方について提言する。

限られた地域だけの取材なので、日本全国の雑穀の利用法についてはその一端しかわからないが、特に山の畑の輪作法など、昔の人々の生活はかくやと思わせる。

貧者の食糧とされた雑穀だが、昨今の健康ブームで岩手県などでまた栽培が始まっている。しかし、消費者にとっては高価についているのに、生産者が納める価格は安く、農業としての採算が成り立たないという(中間マージンなのか、その差額はどこへ行っているんだろう?)。またこの分野でさえも外国からの輸入が約半数(トン数で)を占め、現地の経済を破壊する「日本の食糧帝国主義」を著者は心配する。そのうえで著者は「持続可能な農業」と、与えられたものを選択して買うだけでなく、生産・流通体制までに意識を及ぼす「消費者の自覚」を提言している。

壮大なテーマ(=雑穀の利用法)を蔽いきれない憾みはあるけれど、少し前の畑作や雑穀中心の生活を知る上でも、また「雑穀の今」を知る上でも参考になる書だと思う。

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