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張良、字は子房

今年は漢の高祖劉邦の軍師・張良、字は子房をしのぶ詩で決めたい。
(注:ヒ=〔丕β〕 イ=〔土巳〕である)

経下〔丕β〕〔土巳〕橋懐張子房   李白(唐)

子房未虎嘯
破産不爲家
滄海得壮士
椎秦博浪沙
報韓雖不成
天地皆震動
潜匿遊下ヒ
豈曰非智勇
我來イ橋上
懐古欽英風
唯見碧流水
曾無黄石公
嘆息此人去
蕭條徐泗空

下ヒのイ橋を経て張子房を懐(おも)う

子房 未だ虎嘯(こしょう)せざりしとき
産を破り家を為(おさ)めず
滄海に壮士を得
秦を椎(つい)す 博浪沙(ばくろうさ)
韓に報いるは成らずと雖も
天地皆震動す
潜匿して下ヒに遊ぶ
豈 智勇に非ずと曰わんや
我 イ橋の上(ほとり)に来たり
古を懐い 英風を欽(した)う
唯 碧流水を見る
曾(かつ)て黄石公(こうせきこう)無し
嘆息す 此の人去りて
蕭條として徐泗(じょし)の空しきを

漢の軍師となった張良がまだ天下に雄飛していない頃、家産を傾けて壮士を雇い、博浪沙(ばくろうさ)で秦の始皇帝を襲撃、力士に鉄槌を投げさせたがはずれ、暗殺は失敗におわった。
故郷・韓の国の仇を討つことはできなかったけれども、大それた企てに天下は皆揺れ動き震え上がった。
そのまま追っ手から逃げ、ここ下ヒの町に身を寄せたが、これを智と勇と言わずにおれようか
私(李白)はイ橋にやってきて、張良の故事を思い英雄の気風にあこがれる
ここは今はただ青く川が流れているのを見るだけで、張良に兵法書を与えたかの老人の姿も無い
歎息する。古の英雄はもう行ってしまって、徐州泗水のこのあたりも何か空しいのを。

※漢楚の戦いを描いた本宮ひろ志の漫画『赤龍王』の冒頭で、張良の始皇帝暗殺と老人との出会いが活写されている。そのシーンの最後、兵法書を与えた老人が去っていく場面の背景にこの詩を配置したく思ったものだ。

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